こんばんは!

 

歌を歌い初めて間もない方や、長年独学で歌っていて、歌い方が自己流になっている方がおられるのではないでしょうか?

 

個性を活かした表現や声の使い方と言うのは、もちろん見つけて行くべきですし、自分のカラーが定まるには人によってはとても時間がかかる作業だと思います。

 

ですが、それらは全て、しっかりとした基礎力と言う土台の上にあって初めて輝くものです。例えば、自分の得意は高音だから・・と、やたら高い声を使ってフレージングするにも、しっかり喉が開いた声でないと、キンキン声になってしまい耳触りがとても悪いです。

 

歌を歌う側も、聞く側も気持ち良く歌いたいのなら、大切なのは基礎の徹底です。今日はそんな重要な基礎についてお話したいと思います。

 

 

脱力の重要性

何でストレッチするの?

歌のレッスンの最初、よくストレッチから始まる光景を目にしますが、なぜストレッチをするのか、皆さんは目的を把握していますか?

 

ストレッチの目的は、筋肉を伸ばしてリラックスさせ、声帯の振動を邪魔する余計な力みを無くすためにしています。つまり、どんなに入念にストレッチをしてからレッスンに入ったとしても、実際に歌のレッスンの最中に肩や喉や余計な所に力が入って歌ってしまうならば、まずその癖をとって行く事が重要になります。

 

形だけ真似して行くのではなく、一つ一つ、これは何のためにやっている工程なのか、意味を把握して練習を進めていきましょう。

 

お腹以外全て脱力

声の元となる喉頭原音(こうとうげんおん)とは、声帯同士が振動し生まれる音のことですが、これはとても小さい音です。この喉頭原音が喉の奥を通り、口や鼻の中を通り、外に出て行くわけですが、その道中に響きが増幅してゆき、大きくなった音が口と鼻から出ていきます。

 

脱力は、この喉頭原音を効率よく振動させる為にとても重要です。余計な力みは声帯の振動数を減らしてしまいます。息の支えをする為に、お腹と背中はある程度力を入れておきますが、顔・首・喉・肩・腕・膝から下はとにかく脱力です。

 

膝は、リズムを取る為に柔らかく保っておきましょう。リズムは腰から下で取ります。現代音楽の複雑なリズムに対応するには、膝の関節も柔らかくしておきます。

 

 

 

腹式呼吸

歌の基礎中の基礎、腹式呼吸です。色んな呼吸法があり、先生によって呼吸法の指導が変わってきますが、やはり歌を歌う上で相応しい呼吸は何か?と問われれば、腹式呼吸をオススメします。

 

どうして腹式呼吸がいいの?

胸の周りの筋肉を使った呼吸が胸式呼吸。お腹の周りの筋肉を使った呼吸が腹式呼吸と言います。胸式呼吸の場合、息を吐いたり吸ったりする時に、胸だけでなく肩の周りの筋肉も動かす事になります。つまり、声帯が入っている喉も力み易く、声帯が振動する邪魔をしていまいがちです。

 

また、胸式呼吸は肺を横に広げて息を吸っていきますが、杯の周りは肋骨に囲まれているので、腹式呼吸に比べて量が吸えません。腹式呼吸は肺を縦に膨らませ深く息を吸います。肺の下には横隔膜と言う筋肉で出来た膜がありますが、これは肺の膨張にあわせて柔軟に動いてくれるので、トレーニングを重ねれば重ねるほど沢山の息を取り込める様になります。尚且つ、腹式呼吸は声帯から遠く、声帯の振動を邪魔する事がありません。これらの要因から、腹式呼吸がおすすめ。と言う結論になります。

 

腹式呼吸が出来ているか確認する

腹式呼吸が出来ているか確認する方法を書いておきますので、自信がない方は試してみて下さい。

①まずは普通に息をはいて下さい。肺の中が空っぽになってもうこれ以上出ないと思う所まで吐いたら、その後にもう一息「フッ」と絞り出します。

 

②絞り出し終わったら筋肉を解放してたっぷり息を吸って下さい。いかがでしたか?おそらく息が少なくなってきた最後の方は胸の痛みを感じたのではないでしょうか?その感覚を覚えておいて下さいね。

③次は、吐く前にお尻の穴をギュッと締めて下さい。その後、先程と同じ要領で息を吐いていきます。

 

いかがでしたか?恐らくお尻の穴を占めて息をはいた時、自然と下腹部に力が入って、胸に痛みが走らなかったのではないでしょうか?この方法を使って、座位・立位共に腹式で息を吐けているのか確認してみて下さい。

 

※呼吸についてこちらで詳しく書いています。併せてお読み下さい。

http://kyoko-favor2.com/fukusikikokyuuitai/

 

 

顔まわりのフォーム

顔のリラックスは非常に重要です。喉頭原音をいかに共鳴させ響きを増幅させられるかと言う事に直に関わってきます。入念にリラックスさせておきましょう。

 

どこをどんなフォームが正しいの?

では実際に、どのようなフォームが一番効率よく声を響かせられるのか、確認していきましょう。鏡を用意して下さい。

 

まずは「い」と言う口の形を作ります。そこから下の歯を前に突き出すようにしゃくれさせます。そのまま「い」「え」「あ」と言いなが徐々に顎を下に下ろしていきます。顎が奥に入っていかない様に、必ず真っ直ぐ下に下ろしましょう。

 

常に顎は脱力して、真っ直ぐ下に落とす事が大切です。まず「い」「え」「あ」で、顎を真っ直ぐ下に下ろす事に慣れたら、全ての母音で顎が引っ込まずに発音できる様にトレーニング→50音全て発音していきましょう。

 

舌を思いっきり下に出して下さい。出したら、舌を脱力させて口の中にゆっくり戻します。この時力が入らない様に気を付けます。舌を引きずりながら口の中に戻す様な感覚です。口の中に戻す終わったら、鏡でのぞいてみましょう。

 

舌の中央〜奥にかけて凹んでいますか?凹んでいれば、脱力出来ている証拠です。この舌が脱力している感覚を覚えて下さい。下の脱力は非常に大切です。舌が力んでいると、声が前に出て行く事を阻害し、響のない声が出来上がってしまいます。

 

youtubeなどで、海外の歌唱力抜群のシンガーが歌っている動画を、舌に注目しながら見てみましょう。皆さん舌の中央から奥にかけてが凹んでいます。

 

喉の奥

鏡で喉の奥を見ながら確認していきましょう。

 

まず、舌で上顎を歯の裏から奥に向かって舐めていきましょう。すると奥に急に柔らかくなっている部分がありますね。ここを軟口蓋(なんこうがい)と呼びます。歌っているときは、ここが常に引き上げあられているのが理想です。

 

ここが引き上げられているのかどうか確認するには、口蓋垂(こうがいすい=喉ちんこの事です)が引き上げられているかどうか。で確認することができます。

 

鏡で喉の奥を見ながら、地声から裏声まで全てこの喉のフォームを保って発声出来ているのか、ドミソミドの音階で自分が出せる最低音から最高音まで発声して確認しましょう。

 

表情筋

特に男性の表情筋は固くて持ち上がらない方が多いです。表情筋を持ち上げて歌うのか、下げたまま歌うのかで声の響く位置が変わってきます。

 

しっかり前に飛ぶいい声で歌いたいのなら、表情筋は持ち上げるべきです。特に意識して持ち上げて欲しいのが大頬骨筋と小頬骨筋です。

 

頬骨の一番高い所を両手で触って、上に向かって引っ張り、それに伴い口角を上げましょう。この顔の筋肉の使い方を覚えて下さい。

 

鼻腔共鳴

歌の基礎となる最後の項目は鼻腔共鳴です。鼻腔共鳴というと難しく聞こえるかも知れませんが、”N”の音を発する時は誰でも自動的に鼻腔が共鳴するように作られています。

 

自分が地声で楽に出せる音域でドレミファソファミレドを、「ん」で発生していきます。「んんんんんんんんんーー」鼻の裏がビリビリ振動しているのを感じられたでしょうか?これが鼻腔共鳴です。

 

この共鳴を他の50音全てに移行させていきます。まず”な行”で5母音全てを発声。「Nai」「Ni」「Nu」「Nei」「No」(”な”と”ね”だけ”i”が付いているのは、鼻腔共鳴をのがしやすい母音のため、発声した後共鳴を鼻腔に戻すための”i”です)鼻腔共鳴の感覚を掴んだら、他の「か行〜わ」まで発声します。鼻腔共鳴を逃したらまた”N”に戻る。これを繰り返しましょう。

 

 

まとめ

今日ご紹介した4つのフォームが、最低限の基礎となります。元々日本語というのは、口を大きく開けなくても・腹式呼吸じゃなくても・表情筋を使わなくても話せてしまう言語です。

 

それに比べて英語は正反対。口をハッキリ開けて・舌を柔らかく保ち・腹式呼吸でないと話せない言語なので、日常的に歌を上手く歌いやすいフォームが出来上がっているんですね。英語圏に歌唱力が高い方が多いのはそれが大きな原因の一つと考えられます。

 

すなわち、日本語圏の私たちが歌の基礎フォームを身につけるためには、毎日練習するか、日常からこのフォームを意識して会話をする必要があります。

 

歌の練習は”毎日少しづつ”がとても大きな力となります。是非この基礎フォームをバッチリ身につけてしまいましょう。これだけであなたの声は激変します。

 

 

本日も最後までお読みくださりありがとうございました!

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