こんばんは!

 

話し声や歌声であろうとも、より良い声を出したいと思っている人であれば今や誰もが知っている「腹式呼吸」

 

良い声を作るには腹式呼吸をしましょう!と習い、頑張って練習したら逆にみぞおち辺りが痛い・・なんて事ありませんか?今日は、なぜそんな事になるのか、そもそも腹式呼吸の仕組みはどうなっているのか?という、初歩的な部分を掘り下げて記載したいと思います。

 

呼吸の種類

代表的な歌の呼吸で言うと、「腹式呼吸」と「胸式呼吸」の2つがあります。他にも逆腹式呼吸、胸腹式呼吸などがありますが、これらはダイエット目的や美容目的で使用される場合が多い様です。

 

そもそも肺はどの様に空気の出し入れをしているかと言うと、肺の周りの筋肉を使って出し入れをしています。それでは、腹式呼吸と胸式呼吸は、体の中でどの様な動きをしていて、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。詳しく見て行きましょう。

 

 

腹式呼吸

横隔膜とお腹周りの筋肉を使って肺の空気を出し入れします。深くゆっくりしていてリラックスしやすく、副交感神経が優位となります。

 

よく「お腹に息を入れて!」と言いますが、これは実際にお腹に息が入っている訳ではなく、肺と横隔膜が縦に膨らみ、それに胃や腸などが押されてお腹が少し膨らむ。と言う仕組みになっています。

 

胸式呼吸

肋間筋など、胸回りの筋肉を主に使って呼吸するのが胸式呼吸です。浅く早い呼吸になりがちで、交感神経優位となります。

 

結局どちらがいいの?

肺の上部や左右、前部を使って呼吸をすると、周りを肋骨に囲まれている事から、周囲の筋肉を使って肺を動かすのは効率が悪くなります。

ところが腹式呼吸の場合、横隔膜を使って肺の空気を出し入れしますが、横隔膜の下には動きを阻害する骨等が一切ない為、自由に、楽に、たくさんの呼吸を出し入れする事が出来ます。

 

胸を使う胸式呼吸の場合、実際に声を出す首回りの筋肉も同時に固くしてしまう場合が多いので、喉の脱力を邪魔して、豊かな響を作る声が出しにくくなってしまいます。

 

よって、歌に適した呼吸がどちらか?と言うと、”腹式呼吸”と言うのが私の意見です。

 

 

痛くなる原因

では痛くなる原因が何なのか、具体的に見て行きましょう。考えられる理由の1つ目はこちら。

・息を吐き過ぎている

肺の息を無理に押し出そうとする時、肋骨の間にある肋間筋という筋肉を使います。その筋肉を使って肺をへこませようとし過ぎた為に、肋骨に負荷がかかり過ぎて胸近辺に痛みが走る事があります。

 

お年寄りなどが、くしゃみや咳のしすぎで肋骨にヒビが入ったりしますよね?原理としてはそれと同じです。

 

・力んでいる

これも先ほどの”吐き過ぎ”と似ていますが、今まで激しく使っていなかった横隔膜をいきなり沢山動かすと、痛みを感じる事があります。

 

 

 

 

腹式呼吸確認法

ところで私はキチンと腹式呼吸が出来ているのだろうか?と疑念を持ったことはありませんか?ボイトレスクールに通っているなら先生がチェックして下さりますが、独学で歌を磨いておられる方は第三者に判断して頂く機会がなかなかない為、不安になる場合もあるのではないでしょうか。

 

ですので、ここに腹式呼吸が出来ているかどうか、確認する方法を記載しておきます。是非ご自分で試してみて下さい。

 

普通に息吐く

まずは普通に息をはいて下さい。肺の中が空っぽになってもうこれ以上出ないと思う所まで吐いたら、その後にもう一息「フッ」と絞り出します。

 

絞り出し終わったら筋肉を解放してたっぷり息を吸って下さい。いかがでしたか?吐いていた時に胸の痛みを感じましたでしょうか?その感覚を覚えておいて下さいね。

 

お尻の穴を締めて吐く

次は、まずお尻の穴をギュッと締めて下さい。その後、先程と同じ要領で息を吐いていきます。

 

いかがでしたか?恐らくお尻の穴を占めて息をはいた時、自然と下腹部に力が入って、胸に痛みが走らなかったのではないでしょうか?この方法を使って、座位・立位共に腹式で息をはいて行く事に慣れて行きましょう。

 

腹筋の使い方や肺の位置など、筋肉運動を脳に覚えさせる事が出来れば、ステージの上でも練習でも、TPOを問わず無意識で出来る様になって行きますので、何度も何度も繰り返し練習して行きましょう。

 

 

口と鼻、どちらから吸う?

ボイトレ指南書を色々読んでいると、鼻から吸うべきだと仰る先生もいれば、口からと仰る先生もおられます。結論から言うと、それぞれにメリットがあるので時と場合によって使い分けるのが良いと思います。では具体的にどんなメリットやデメリットがあるのかみてみましょう。

 

・口から吸う

素早く沢山の息を一気に取り込むことが出来ます。歌のブレスのポイントとは、いつでも余裕がある訳ではなく、4部音符分とれる場合もあれば、16部の裏で吸わないといけない様な場合もありますよね。

 

そう言った忙しない場合はやはり口から吸気すると良いでしょう。ただ口からの吸気は、鼻に比べて口の中を乾燥させてしまう傾向がありますので、毎回の吸気を口だけから行うのは良くないです。

 

・鼻から吸う

まず、鼻から吸った方が腹式呼吸に繋がりやすいと言うメリットがあります。そしてもう1つは、鼻の中は口に比べて加湿・加温機能が高いので、湿度のある吸気を取り込むことが出来ます。

 

鼻の中には毛細血管が沢山はり巡らせられていて、電気ストーブの如くなっているので、息がそこを通過する時に、適温に温められます。また、風邪を引いていなくても鼻の中から適量の鼻水が出ていて、それが鼻腔内の湿度を保ってくれています。すなわち、鼻から息を吸う時基本的には吸気の湿度は90%となります。

 

すなわち、口から息を吸うより鼻から息を吸った方が喉には良い。と言う事になります。

 

とは言えいつも鼻から息を吸っていてはブレスが間に合わなかったり、鼻から息をすする音をマイクが拾ってしまったり・・と言う不都合も生じますので、基本的には(日常的にも!)鼻呼吸を意識し、間に合わない場合に口から吸う。と言う使い分けをしてみてはいかがでしょうか。

 

 

まとめ

歌を歌うときの呼吸について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。いずれも一朝一夜で身につくものではないので、日常の呼吸をも練習に使ってみましょう。日常から鼻呼吸と腹式呼吸を心がけていると、リラックス効果や便秘解消、風邪を貰いにくくなったりなど、メリットが沢山ありますよ。

 

その他気をつけることとしてはやはり猫背にならないことですね。肋骨の間にある筋肉が動かしづらくなるので呼吸が浅くなてしまいます。

 

腹式呼吸で深い息を吸って、それを少しづつ使って効率よく声を響かせることが良い声に繋がります。少ない息で効率よく発生する事については、こちらで解説していますので是非ご一読下さい。

http://kyoko-favor2.com/utautotsukareru/

 

 

本日も最後までお読み下さり有難うございました!